Group Exhibition「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012」

「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012」

「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012」に今回、計3作品を出品しています。JR飯山線アートプロジェクトとして、越後田沢駅のプラットホームと並び細長く設計された河口龍夫作品を収蔵する建物として「船の家」その中には、「未来への航海」「水から誕生した心の杖」が設置されています。
また「越後妻有アートトリエンナーレ2003」の時にまつだい雪国農耕文化村センターに展示をした、「関係 – 黒板の教室」には15脚の黒板の机の引き出しがあり、今回その机の引き出し計45個をアートにする「引き出しアート」も制作しました。

【作品タイトル】「未来への航海」「水から誕生した心の杖」

【会場】JR飯山線越後田沢駅

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【作品タイトル】「引き出しアート」

【会場】まつだい雪国農耕文化村センター(まつだい「農舞台」)

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【会期】2012年7月29日(日)~9月17日(月・祝)

美術手帳2012年7月号増刊 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012 公式ガイドブックに掲載されています、インタビューの記事になります。

越後田沢駅に誕生する船の住み家と「心の杖」舞う空間

かつて富山沖の日本海で活躍した船。河口龍夫が漁師から譲り受けて芸術作品『天空の船』となり、2008年に富山県入善町下山芸術の森 発電所美術館で宙を漂う。⇒展示風景
その翌年、東京国立近代美術館へと『時の航海』を続け、この夏、JR飯山線アートプロジェクトの一つ、越後田沢駅近くに船が暮らす新居がつくられた。ここから船出し、また帰ってくることをも想像させる。船体は、ひまわりや太陽などを思わせる明るい黄色に輝く。家の奥には、『水から誕生した心の杖』という新作も収蔵される。杖は、身や心を支えるものだ。水槽に立ち、宙を舞う。地域の人々が使っていた杖がここに集結し、今後も増えていく。かつて使われていた農具を収めた、まつだい「農舞台」の「関係―農夫の仕事にも連なる作品となる。
「老いても未来がある。どんなことがあっても未来があるということを表現できるのが芸術じゃないかと思うんですね。杖が天使に見えたらいいな。老人の天使がいてもいいですよね」
1960年代から、「関係」をテーマに、鉄、銅、鉛といった金属や、光と熱といったエネルギー、化石や植物の種子などを用いて、さまざまな物質と物質、物質と非物質、物質と人間とのあいだの見えないものを表現してきた。加速する文明への警告を含みながら、ユーモアや夢をも感じさせる。
「井上ひさしが言ったように、人生は悲しいことばかりだから、ユーモアを作ることがクリエイティブだとも思うんですね。さらに美術では、その物語を決めるのは観客なんです。余分なものをそぎ落として純粋な美術を追及することにはいい面もあるのですが、次第に芸術のための芸術になって、人間のための芸術ではなくなってしまう。そうすると人々が離れていってしまうんですね。そのことに気づいてからクスッと笑うとか、考えさせられるとか、人間特有のものに訴えることが大切だと思うようになりましたね」
船と杖が主のこの家には、越後田沢地域の人々が集い、訪問者とのつながりも生まれるだろう。水は、飯山線と並行に流れる川から海へと地球規模のつながりを、船は旅と移動を連想させる。訪れる人のさまざまな語りを、隣の部屋で聞いた船が、時空を超えては飛んでくれるかもしれない。